2023年の良かったフィクションや本など

これはなに?

 カブトガニが2023年に見たり読んだりして良かったフィクションや本をまとめました。ジャンルは本なり、マンガなり、同人誌なり、ゲームなりなんでもになります。必ずしも2023年に発表されたものじゃなくても、単に読んだものの話になります。また記事のリンクはアフィリエイトが含まれています。



小説

人類皆殺し

 トマス・M・ディッシュのアポカリプス小説。神戸のサンコウ書店で購入したもの。  既存のアポカリプス小説によくある文明崩壊のロマンみたいなものは一切なく、異星の多分栽培植物によってゴミみたいに文明が滅び、人間が害虫みたいに駆除されていき、生活自体も最悪になっていくのはかなり新鮮で面白かった。

www.sankoubooks.com


かくて謀反の冬は去り

 神話の時代から中央集権国家を経ずにそのまま多民族国家として近代に入ったような日本が舞台で、その世界観で宮廷ものをやっており、世界観の部分がかなり面白かった。



漫画

シメジシミュレーション 04

 シメジシミュレーション常に面白いし、世界の底が抜けた後もちゃんと表現していて、それが面白いフィクションってかなり貴重だと思う。  実際にこういう世界で生きるとしたら何をするんだろうと少し考えるが、多分本を読むか架空のもっともらしい生物を作ったり、自分の生活のなかの道具をすべて生物的な産物や生物自体に置き換えた暮らしみたいなものをやってみようとすると思う。


破滅の恋人

 話の筋自体は女の子が幽霊屋敷で年上の女性と出会うというものだが、絵やコマ割り、視点なんかがかなりうまくて、いいもの読んだなという気分になる。



同人誌

継ぎ穂

コミティア143で買った室外機室の同人誌。コミティア143で室外機室の同人誌をいくつか買って、その中でこれは本の内容と装丁がきちんとマッチしており良かった。ある人が即売会で買った同人誌は読むたびに内容が変わる同人誌で……という話。紙じゃなく電子版でも十分面白く感じられると思う。

condenserunitrm.booth.pm


古驰贋作贋作倶楽部

 中国の各種パチモンのネタを扱った漫画。全く知らない分野の話なのでかなり面白く読んだ。特にsupremeブランドが嫌いだからsupremeのパチモンを売りさばいているシュプ先輩というキャラが秀逸。一応pixivでも読める。

www.pixiv.net

sim4562.booth.pm



ゲーム

リバース1999

能力者ものとタイムスリップものを組み合わせたソシャゲで、キャラクターデザインやUIデザインに特色がある。中国のソシャゲで日本に入ってくるものだとmihoyoのものを除けばどうしても銃やテックウェア的なデザインが入る場合が多いイメージがあるので、こういうのはかなり新鮮。歴史改変もの的な要素もあり、キャラクター自体や劇中の出来事には実際の歴史的なバックグラウンドがあるところも面白い。


フラッシュバック

 インディーズの安いミニゲーム。かなり手軽に一周できる点がいい。このディベロッパーは他にも2つミニゲームを出しているが、個人的にはこれが一番好み。フリーゲームが盛んだったころに出てたようなゲームという感じで気軽に楽しめる点が良い。

store.steampowered.com

ARMORED CORE VI FIRES OF RUBICON

 久しぶりのアーマードコアの新作。ゲーム的な面白さがそれまでのシリーズに比べかなり向上している。あと、アホみたいにでかい巨大建造物とその大きさに合わせて追加された各種の建造物のディテールが面白い。

store.steampowered.com


Rocksmith® 2014 Edition - Remastered

 ぼっちざろっくに影響を受けてギターを買ったときに一緒に購入したもの。専用のUSBケーブルを使うことで、エレキギター音ゲーができるというもの。レッスンなんかも含まれているので、ある程度キチンとギターの学習ができるというもの。60日でギターが弾けるようになるらしい。エレキギター自体は現在埃をかぶっているので、俺はまだギターを弾けるようになってはいませんが……

store.steampowered.com


ノンフィクション

ぼくらはそれでも肉を食う

 動物と人間のかかわりにおいて、人間側の道徳的なゆらぎを実際の事例を提示しながら読むポピュラーサイエンス的な本。個々の事例が印象に残りやすい本で、個人的にはアメリカの違法闘鶏文化の話とか、アメリカ人が焼いた肉についてめちゃくちゃこだわりを持っている部分なんかが面白かった。


台湾を知るための72章

 台湾旅行前に勉強のために読んだ。エリアスタディーズシリーズは初めて読んだが、様々な分野について簡単にまとめられており、第二版が2022年発行なのもあって、かなり参考になった。今後海外行くことがあるとしたら、その地域のエリアスタディーズ読んでから行くようにしたい。

2023年買ってよかったもの

 去年は確かポッドキャストで買ってよかったものをしゃべった気がするが、今年は普通にブログで書くことにする。

 

M.2 SSD

 半年前にM.2 SSDを買うまでまだHDDを起動ドライブにしてたが、ようやくM.2 SSDに替え、もっと早くにM.2SSDに替えなかったことを後悔した。今となっては一世代前のKIOXIAの1TBのSSDが6000円ぐらいで買えるので、交換しない理由はないと思う。

 

 

エリアスタディーズシリーズ

 夏に初めて台湾に旅行に行ったときに購入したもの。エリアスタディーズシリーズの本を読むの初めてだったが、ざっくり台湾の各種の情報を得るのに大変便利だった。さらにジャンルごとにさらに知るための参考文献が書いてあるのもいい。今後、また海外に行く機会があったら、ぜひその国のエリアスタディーズを読んでから行きたいと思う。

 

 

 

金属製の排水溝水切りかご

 備え付けのプラスチック製のものが汚れまくっていたので、購入。プラスチック製のものに比べて掃除しやすいし、いざとなれば、去年買った煮沸消毒用の鍋で丸ごと煮込んでしまえるのがいい。

 

モニター台

 机の上におけるものの量が増えるので買った方がよい。これを買ったところで机の上が片付くかどうかは人によるし、これを買って机の上が片付いたと感じる人はそもそも机の上が片付いている人な気がする。

 

 

 

MtGの統率者デッキ

 買ってよかったと思うが、同時に買わない方が良かったとも思う。やはりMtGはカードが高すぎるし、普通にMtGやるよりもボードゲームカフェ行って気に入ったボードゲームを買った方がいいのではないかとは常々思ってしまう。

 統率者戦自体は面白いが、カード一枚に1000円以上払うのはやっぱりかなり抵抗感があるし、多分1万以上のカードは絶対に買わないような気がする。

 

 

 

タミヤのモノレール工作セット

 ドライバー一本で作れるモノレールキット。単純に走るだけでなく、行き止まりに行くとギアが切り替わって後退するようになっていて楽しい。M5Stackと組み合わせて制御するぞと思ってからすでに1年ぐらいたっている。このシリーズだと他にローラースケートロボットも組んだが、それもゾイドとかでは見ない動作で面白いし、組んだ時に適度な満足感が得られる。

 

最近見たもの、読んだもの(2023/07)

 なんかもうTwitterもなくなりそうだし、ブログをもう少しこまめに書きたい。

タミヤ 楽しい工作シリーズ No.254 モノレール工作セット

 これを紹介したくてこの記事を書いた。ネジ一本で組み立てられるモノレールのキット。ガイドレールに沿って走行し、行き止まりで逆方向にスイッチするというキット。この前出たローラースケートロボットといい、最近のタミヤの楽しい工作シリーズはかなりツボをつく商品が多く出ていてうれしい。

 暇なときにM5stackを乗っけて制御できるように改造したい。分岐路も作ってみたいが、調べたところモノレールの分岐路は物理的にガイドレールの接続を切り替えるようなので、分岐路を作るハードルは高そう。

youtu.be

 

オスマン帝国の世界秩序と外交

 著者の研究をまとめたもの。オスマントルコにおける外交のあり方と時代による変化を書いてある。

 外交のシステムだとか外国人の国内での扱い方が、近代以降と大きく異なり、そもそも外交官が外国の言葉を学習すること自体が近代以降でそれまではギリシャ系の通訳を輩出している家に任せてたとか、近代以前はオスマントルコは在外公館を設置せず、外国には強者から与える権利として国内に在外公館の設置を許していたとか、現代の感覚からするとかなり不思議に思える。

 

 また、オスマントルコとフランスがもともと友邦だったが、フランス革命がおこったとき、オスマントルコ内のフランス人社会はすぐに反応したのに、オスマントルコ政府自体はすぐに認識できなかったとかは電報とか通信社とかがなかった時代は情報流通が遅いし、逆にその程度の情報流通速度でも帝国の運営ができるもんなんだな、と思ってしまう。

 

台湾を知るための72章【第2版】

 友人と台湾旅行に行く予定を立てたので、勉強のために読んだ。エリアスタディーズシリーズを読んだのは初めてだったが、様々な分野について簡単にまとめてあり、また、各分野に詳しく学習するための参考文献リストがついているのはかなり良い。

 読んでみて感じたのは、隣国であるのに驚くほど自分が何も知らなかったということ。歴史に関してもそうだし、社会に関しても全く知らないことばかりだった。

 

 

 

サンセットルート、フラッシュバック、白昼夢

 同一のデベロッパーがsteamで一本百円ぐらいで売っている短編ゲーム。サックリ終わり、そこそこ面白い。雰囲気としてはひと昔前のそこそこよくできているフリーゲームのような感じ。三本の中だとフラッシュバックが一番好み。

store.steampowered.com

 

DREDGE

 異様な魚や巨大な怪物のいる海で漁をするゲーム。グラフィックはよく、よくできていると感じるが、フックやパンチにかける。ニュージーランドのゲームスタジオの制作でニュージーランド政府の援助が入っているらしく、小規模なインディーズゲームスタジオに援助してくれるのはいいなあ、と感じた。

store.steampowered.com

夏が来たので大菩薩へ

 


 Twitterが崩壊しそうになっている中、夏が来たので2000m級に登らねばということで大菩薩に行ってきました。

 Twitterどうなるかわからないし、マストドンは写真貼りにくいので、写真の類は当分はてなブログに貼ろうかと思っています。(tumblrを開設してもいいが)

 

 大菩薩は東京から日帰り可能なアクセスの良い山で、上日川峠へのピストンだと三時間で2000m級の尾根を歩いて下山できるので、その手軽さも魅力です。

 ただまあ、風呂に入りたいのと、三時間だと少しもの足りないのもあって、今回は

上日川峠→大菩薩峠大菩薩嶺→丸川峠→大菩薩の湯

というコースで歩きました。コースタイムは4:36で地図の上でのコースタイムよりは少し早め。

 大菩薩はやはり手軽に高山帯のような風景を楽しめるのが魅力的です。

大菩薩峠

尾根から見た大菩薩湖と富士山

賽の河原

 山頂に近づくとツガ林が広がります。

 上日川峠へのピストンルートは歩く人が多いのですが、大菩薩嶺から丸川荘、大菩薩の湯までは林の中を歩くことになり展望が悪く、歩く人もまばらです。唯一開けるのが、丸川荘周辺のみ。

丸川峠から大菩薩への道

 

 バス停のある大菩薩の湯は、風呂もいいんですが、なんといっても果物の直売所があり、桃やすももがめちゃくちゃ安く買えるのでオススメです。

 下山後の食事には塩山駅手前の赤尾バス停近くにあるほうとうの店完熟屋がオススメ

kanjyukuya.jp

『新宗教と巨大建築』を読んで、天理に行ってきた

 『新宗教と巨大建築』を読んで、おやさとやかた計画に感動したので天理に行ってきた。Twitterがどうなるかわかんないので、こちらの方に写真と感想をあげておく。

 『新宗教と巨大建築』自体は、新興宗教の建築物や近代以降の新興宗教以外の宗教施設、海外の新興宗教建築、結婚式教会についてなどをまとめている。

 

 その中で紹介されている天理教のおやさとやかた計画自体は神殿の周囲を天理教の宗教にかかわる施設で囲うというもので、今現在はその一部が完成している。

 

新宗教と巨大建築のおやさとやかた計画の図

おやさとやかた計画(『新宗教と巨大建築』より)

 周囲にある建物自体は詰所、教育施設、病院などで、写真のように瓦屋根にベランダがついているビルというデザインが共通になっている。

 

真南棟の吹き抜け部分の写真

真南棟の吹き抜け部分

これらの建物が800m四方のうち三方を囲むように立っているので、かなりインパクトがある。

南から神殿の方向に向かって撮った真南棟の写真

南から神殿の方向に向かって撮った真南棟の写真。吹き抜けから神殿の南面が見える。

天理教の西の詰所の写真

西の詰所

 詰所は、年に何回かある天理教のイベントに参加するために全国から集まった信者を収容する宿泊施設。西の詰所以外にも真東棟の東にもまとまった数の詰所が建てられていた。

真東棟

 

神殿の構造(『新宗教と巨大建築』より)

天理教の神殿の南礼拝所を南から見たところの写真

南礼拝所を南から見たところ

 神殿自体は甘露台を囲むような構造になっており、東西南北にそれぞれ広い畳敷きの空間があり、四方から信者が甘露台を拝められるようになっている。

 ちなみに神殿のシルエット自体は各方向で異なる。

神殿と教祖の家の回廊(『新宗教と巨大建築』より)

 

回廊で囲まれた空間から教祖の家を見たところ

 教祖の家は教祖の中山みきが生きているように信者によって管理されている建物で、ここも信者にとって参拝する場所のようだった。

 正面からも中に入れるが、神殿の回廊から行くこともでき、大部分の人はそうしていた。

 

 『新宗教と巨大建築』でも指摘されているように、おやさとやかた計画、中心の神殿と教祖の家をつなぐ回廊、神殿自体のすべてが何かを囲うような構造になってるので、実際目にするとミステリーに出てくる異常建築を実際に現実で目にするかのような感動がある。

 『新宗教と巨大建築』読んで、近代以降の宗教建築に興味が湧いてきたので、次は築地本願寺辺りにでも行きたい。

 

最近見たもの、読んだもの(8月)

8月中に読んだ本ややったゲームなどについて書く。

 

Disco Elysium - The Final Cut

かなり面白く、年間ベスト級のゲーム。

ゲームの内容としてはクトゥルフ神話TRPGのようなシステムで、各種能力値で能力判定をしながら殺人事件の操作を進めていくアドベンチャーゲーム

自由度の高さや、マップ自体は狭くとも、膨大なテキスト量で世界の広がりを感じさせる点は見事。

ボリュームとしてもコンパクトで、自分の場合は20時間程度でとりあえず、一周できた。

特異な点としては、TRPGにおけるゲームマスターによる判定後の語りの部分が、各種能力のそれぞれ別人格の内言のように表現されており、この部分をゲーム内世界に組み込んだことで、プレイヤーの主人公への感情移入をスムーズにしている。

また、作中世界が現実のものと異なる環境で、なおかつ主人公が記憶喪失になっていることで、そもそも主人公のいる社会や国家がどのようなものであるのかを知っていくことが、事件捜査とは異なる二つ目の目的としてあり、ミエヴィルの『都市と都市』のような世界の解像度を少しずつ高めていくような体験も行える。
store.steampowered.com

 

ダンジョン飯 12巻

結構もう終盤って感じになっていて、あと1、2巻で完結しそう。

 

ダンジョン飯 ワールドガイド 冒険者バイブル

ダンジョン飯の設定本であり、かつ、各キャラクターに関する設定や漫画が載っていて、かなり良かった。

特にカブル―のチームやカナリア隊、カブル―の養母のミルシリルなどにかなり書面が割かれており、本編のサブキャラクターに関する部分の理解が深まる。

こういった設定本を無限に読みたい。

 

 

異常【アノマリー

群像劇をやりながら、シミュレーション仮説に接続していくのだが、その接続の部分がイマイチで、話の畳み方も雑に感じた。

群像劇部分もそれぞれの相互作用がほとんどなく、並列に話が進行していっているという感じで総じてイマイチ。

 

クロシオカレント

ぬるめたの作者の新刊。アキタランドゴシックとかシメジシミュレーションみたいな異常日常系で、シメジシミュレーションみたいに、日常よりかはストーリーを進めるのに重点を置いているように感じた。まあ、ただまだ一巻なので、今後どう転がるか次第といったところ。

 

 

 

 

最近見たもの、読んだもの(2022/7)

読書メーターを真面目につけなくなって久しく、もちろん、日常の退屈さを和らげるために、ただ浴びるようにフィクションを消費してもいいのだが、ただ最近の面白く感じたコンテンツが人から教えてもらったものが多いので、自分もそのお返しをするためにこの記事を書く。

 

後は最近、企業博物館などに行きまくっているので、それらについても別の記事で書いておきたいと思う

 

地図と拳

小川哲の新作。群像劇で、満州を舞台に、日露戦争から終戦までを描いた歴史小説

歴史+群像劇といった点で『ゲームの王国』っぽさがあるが、ただ『ゲームの王国』のようなマジックリアリズム的荒唐無稽さはなく、淡々と歴史をなぞっているように感じた。

群像劇で登場人物を把握しやすいのは小説がうまいからだと思うが、『ゲームの王国』の上巻というとんでもない最高傑作を前にすると、多少見劣りを感じてしまう。

 

ベントラーベントラー

野村亮馬アフタヌーンで連載していた作品。地球にやってくる宇宙人や宇宙人の人工物に役所に属する人たちが他の宇宙人の助けを借りて対処する話。

『東京入星管理局』を連想するが、宇宙人が基本的に友好的なので、あれよりものほほんとした感じ。

『第三惑星用心棒』の3巻が待ちきれないので、未読だったこれを読んだが、独特のデザインの宇宙人や人工物が読めたので、だいぶ満足。

『第三惑星用心棒』の3巻も早く読みたい。

リリアンと燃える双子の終わらない夏

Twitterで良い評判を見かけたので、読んだ。

ステップマザーもので、燃えだす双子をどん底の人生を送っていた主人公が育てるという筋。

作中のありとあらゆる要素がめちゃくちゃに心地よく、なろうにおける異世界転生や悪役令嬢の次に来るのはステップマザーものだろって思うレベルでスカッとさわやかだった。水戸黄門よりスカッとした。

 

音盤紀行

レコードをテーマにした短編集で、青騎士1号の載っていたものの中では一番良かったので、購入。悪くはないし、1号だけしか買ってなかった青騎士の最新号を買ってもいいかな、という気分にはなった。

 

 

 

神々の山嶺

フランスの方で作られたアニメ映画。

エベレストに入ってからのシーンは悪くなかったとは思うが、谷口ジローの漫画を読めばよくないか?とは思ってしまった。

longride.jp